三毛猫ピルゥ

無事母を送り出し、パリ市内の友人宅へ。
3年前に日本に新婚旅行に来たふたり。奥様のアンナは来年2月にお母さんになる予定で、ノエルのために実家のあるナントに里帰りしている。旦那様のニコラが迎え入れてくれ、ようやく荷物を降ろした。
勝手知ったる、何度もお世話になっているアパルトマンだけど、1年半の間にいろんなものが変わっていた。
一番の違いは、ネコちゃんがいること。ピルゥ(綴りは特にないらしい。発音だけ)というこの三毛猫は、ニコラが学生時代に飼っていたのを実家から連れてきたらしい。今まで犬とは交流があったものの、ネコとは縁のなかった私。でも、哺乳類全般が好きなので、当然近づいてみる。
あ、逃げた。手を出すと、身体をのけ反らせて、震えている。どうも、極度の怖がりらしい。仕方ない、仲良くなるのはあきらめようと、一旦関係を保留。
夜、寝るためにかけ布団を取りに行ったら、なんとその上でピルゥが寝ているではないか!どうしよう、ちょっとかわいそうだけど、なでようとしたら逃げて、どいてくれるだろうと思ったら、大間違い。ここは私の場所!とばかりに、頑なに動こうとしない。困った。今夜は今年一番の寒さになるという。かけ布団なしでは、室内で凍死(オーバー!)もしくは確実に風邪を引くだろう・・・。仕方ない、ここはちょっと強硬手段で!と、布団をぐいと引っ張ってみた。


あう!


先ほどまでの怯えようとはうってかわって、いきなり攻撃態勢になったピルゥ。私の手のひらを引っかいた!目にも留まらぬ俊敏さ。8歳近い初老の猫とは思えないほど。
みるみるうちに血がにじむ、かわいそうな私の手。長さ1センチ弱、深さ0.8ミリ。やられた・・・!
ちょっとむかついたので、本気でどわーっと引っ張ったら、さすがにどいてくれた。恨めしそうな目。。。
その後、ソファベッドを用意しているときも、じっと布団を見つめている。なかなかしぶとい(笑)


その後、電気を消して寝ていたら、夜行性のピルゥはガサゴソガサゴソなにかをしていた。気がついたら寝入っていたけど、何かが足元に。ピルゥの存在を完全に忘れていた私は、飛び起きて電気をつけた。
なーんだ、足元が温かいから、そこで寝たいのね。
ふふ、かわいい。
寝ている姿は、もわっとしていて、なかなかかわいい。さっきの怒りは収まった。
これから少しずつ、仲良くなれるかな?